浴室乾燥・換気扇の故障？その1

先日、自宅マンションの浴室暖房乾燥機に異常が発生した。

正確名称は24時間換気機能付浴室暖房換気乾燥機。

以下、浴室乾燥換気扇として話を続けます。

24時間換気も兼ねているのだが、普段は殆ど聞こえないファンの音が大きくなって唸りのように聞こえる。

築7年目で住設機器に問題が出始める時期ではあるが、この現象は以前にも体験している。

入居して1年少々経った頃、やはり同様の異音が発生。

原因は浴室乾燥機内部の送風機の羽、シロッコファンという樹脂部品の一部が割れていた為だった。

通常、電気製品の保障は購入後1年と言う物が多い。

保障が切れた直後の故障で当然不満もあったが、メーカーに電話して交渉の結果、壊れた部品を実費で購入して送って貰い、自分で交換修理した。

まずは不良個所の特定だが安全確保の為にブレーカーを切る。

ファンを取り出す。

前回交換してから1度も清掃していないのでかなり埃が付いている。

一見異常が無いように見えるが、詳しくチェックして見るとシロッコファンの吸い込み側にファンのブレードを束ねるように配置されたリングが割れている。

写真では指で押し広げているので隙間が見えるが、普通は割れているのに気が付かないだろう。

前回と全く同じ壊れ方だ。

回転すると遠心力で広がり、回転バランスが崩れるので唸りのような音がするのだ。

最初に壊れた時には初期不良は仕方が無い事だと思って深く考えなかったが、続けて何度も同じ壊れ方をするのは妙だ。

ファンをぬるま湯で洗って、表面を良く観察してみる。

割れた部位近くの写真。

縦に2カ所、リングに筋が入っているのがお分かりだろうか？

良く見ると、割れた部分の周辺には同じ様な筋が見えるが、全く筋が見えない部分もある。

これって、ウェルドラインじゃあないか？

樹脂設計に詳しく無い方も多いと思うので簡単に説明します。

タイ焼きの型に溶けたチョコレートをゆっくりと端から流し込む事を考えて下さい。

この時、タイ焼きの型を充分温めておくと、チョコレートは溶けたまま型の中で混ざり合い、冷えてから取り出せば綺麗なタイ焼きの形をしたチョコレートが取り出せます。

しかし、タイ焼きの型が冷たい処へ溶けたチョコレートを注ぐとどうなるでしょう？

型に触れた瞬間にチョコが固まってしまうので、型の中で混ざり合い難くなります。

型から取り出した時に、温度が低くなって固形化しかかったチョコの表面が完全に交じり合わずに筋が出来ますが、これがウェルドラインです。

浴室乾燥機の羽に話を戻すと、モーターの取り付け部分から流れた樹脂が何枚もあるブレードに分岐してからリング部に合流する構造になっています。

樹脂の型の加熱にムラがあるのでブレードを通過中に樹脂が硬化し始めてしまい、リング部で合流した時に完全に交じり合わなくて線が見えている部分があるという事です。

つまり、この筋の部分は樹脂が完全に交じり合っていないので弱くなっている、言わば傷があるのと同じ状態です。

樹脂部品の主な破損原因は次の3つ。
①外的応力：落としたり叩いたり、衝撃が加わった。
②ケミカルクラック：溶剤や洗剤、薬品などにより樹脂がもろくなる。
③成形不良、特にウェルドラインの発生。

①と②は除外できるので、モーターが回転して細かな振動が伝わるので傷が成長して破断したと考えるのが普通でしょう。

これは経年変化による故障ではなくて、部品不良なのでは？

メーカーのお客様相談室に問い合わせの電話をするが、平日で担当者不在。

メーカーＨＰよりメールで問い合わせを行った。

住所、氏名、電話番号を記入。

件名として『浴室乾燥機ファン破損の件』

意見・ご要望として
『お世話になります。御社製品******をマンション浴室で7年程使用しています。入居して1年少々で窓などを閉めて部屋の気密が上がった時に異音が発生、自分で点検したところシロッコファンのベルマウス側リングが1カ所割れていました。このときには御社に御無理を言って、ファンの部品単体を購入させて頂きました。その後先日まで問題ありませんでしたが、再び同じ部品が破損して異音が発生しています。破損部分周辺を良く見るとウェルドライン部分から破損しているようで、周囲にも割れていないが樹脂の溶け込み不足と思われる筋が規則的みられます。又、ウェルドラインが全く無い部分もある事からショット時の金型の温度ムラが原因の不良ではないかとおもわれます。①再び部品の単品購入は可能でしょうか？②発送時に検品して頂けますか？以上、お手数ですが宜しくお願い致します。』

続きます。