入院飯1
某大学病院眼科の待合室は混雑していた。
待っている患者の多くは高齢者で、杖を突きながら歩いている人も居る。
そんな待合室の狭い通路を何度も奇声を発しながら走り回る幼稚園児位の年齢の男子。
それを笑顔で見守る母親。
まず、母親の躾けが必要だな。
ようやく私の名が呼ばれて診査。
網膜剥離で緊急入院、手術となった。
事の起こりは半月程前の事。
仕事を終えて車で帰宅、玄関に入ってギョッとした。
右目に異変が!
視界右下に影が見える。
感覚的に目の前20センチ位の場所に一円玉大の黒い丸い物が浮かんでいる。
飛蚊症と言う奴か?
すでに病院がやっている時間ではなく、手の打ちようが無い。
しかし、シャワーを浴びて食事をしていると段々影が移動、形を変えて色も薄くなって行った。
翌日仕事を休んで近所の眼科で検査を受けると既に止まっているが、内出血したようだ。
加齢で眼球内部が縮んで網膜が引っ張られる為らしい。
2箇所程、強く引っ張られている場所があり、網膜剥離の可能性が有るので気を付ける様に注意された。
その後暫く小康状態だったのだが、数日前に右目左上に黒い影が見え始めたので再検査すると網膜に穴が開いているのが判明したので紹介状を貰って大学病院に来た訳だ。
それにしても即日入院とは。
網膜剥離初期は振動を与えない事が重要らしい。
緊急入院でベッドの空きが無く、1日2万円近い個室しか無いが失明の危険は冒せない。
生まれて初めての入院は洗面台とトイレの付いたオシャレな個室でスタート。
ホテルと違うのは食事。
まあ、期待はしていなかったけどさぁ。